業務改善マインド ~もっと仕事を面倒くさがれ~

この記事では、仕事を「面倒くさい」「こんな仕事、意味がない」と感じるマインドの大切さについて書いていきます。

このような言葉は、従来ネガティブな意味で使われがちです。これを書こうと思ったのは、Twitter上で「新入社員が”意味がない仕事はやりたくない”と言って云々」というツイートを見たからです。

誤解されたくありませんが、そのツイートの内容を否定したいわけではありません。

ですが、個人的にはこの「面倒くさい・意味がない」というマインド自体はとても大切なものだと思っています。自分の考えを以下で詳しく書いていきますね。




「面倒くさい」の後が大事

私は先のツイートの「意味がない仕事はやりたくない」と言う新入社員を肯定したいわけではありません。

というのも、その言葉の後に続くものが分からないからです。

多くの人が「こんな仕事、面倒くさい」「この仕事に意味があるんだろうか」と思いながらも、「でも仕事だしなあ」と自分を納得させて、そのまま業務を進めているのではないでしょうか。

こういうのを、私は心の中で「ネガティブな面倒くさい」と呼んでいます。

何も行動することなく、ただ「嫌だ」という気持ちを持っているだけ。これは良くないです。こんなことを考えていたら、当然その仕事は楽しくないでしょう。

おそらく、件の新入社員の方はこのパターンなのではと推察します。

次に、私が考える「ポジティブな面倒くさい」です。

「この仕事、面倒くさいな。どうにかして、やらなくてよくなったり、もっと速くできないかなあ」

この考え方を私は「ポジティブな面倒くさい」として、新入社員や後輩・同僚にも奨励しています笑

割と日本的な考え方だと思うのですが、面倒な仕事にも意味を見出して頑張る、というのを美徳として捉えがちです。

確かに、経験しないと分からないことというのもあるので、頭ごなしにその考え方を否定するつもりはありません。

ただ、「業務改善」という側面で見たときに、そういう考え方をしていると全く進まないというのが現実。

「面倒くさい」と感じるところが改善の第一歩です。

面倒くさいと感じていない業務を「改善しよう!」なんて、誰も思わないですよね?

改善を進めるためには、あらゆる仕事を「面倒くさい」と感じる心が大切です。

どんな仕事が「面倒くさい」のか

この章では、どんな仕事を「面倒くさい」と感じるべきかについて考えます。

こちらのマトリクスは、仕事を「時間がかかるか」と「付加価値が高いか低いか」の二軸で分類したものです。

このマトリクスの説明の前に、付加価値という言葉の概念を整理します。

付加価値とは「価値のある形に変えること」です。そして、仕事とは「付加価値を生むこと」と私は定義しています。

この定義で考えると「付加価値を生まない営み」は仕事ではありません。

自動車のボディを製造する工場で考えてみましょう。1枚の鉄板をプレスで変形させることによって、自動車のボディは生産されます。

先ほどの定義でいう仕事、つまり「付加価値を生んでいる」のは、この工場で言えばプレス機が鉄板をプレスするその瞬間だけ。

もちろん、それ以外にもたくさんの作業がありますよね。

材料の鉄板を運搬する、プレス機の設定をする、金型の交換をする、完成品の検査をする、等々さまざまな工程があります。が、「付加価値を生んでいる」すなわち、「ただの鉄板を自動車のボディという価値のある形に変えている」のはプレス機が鉄板をプレスする瞬間だけです。

それ以外の作業は極論、すべて「必要ではない」のです。

たしかに、「材料を運んでこなければプレスできないだろう。だから材料の運搬は必要だ」という反論は考えられます。

ですが、それは「今の仕組みの上で必要なだけ」で本質的には必要ではありません。

例えば、今は人が重機を操作して鉄板を運搬しているのであれば、それを自動化できれば一人分の工数を減らせます。

極論、入荷してきてトラックから降ろした鉄板をそのままプレスすることができれば、運搬する必要がありません。もちろん、そんなことを実現するのが相当難易度が高いことはわかっていますが、大事なのは「仕組みを変えることでやらなくてもよくなる」ということなのです。

プレス以外のすべての作業は「無くても大丈夫なら無いほうが良い」のです。プレスするその瞬間のために他の作業は存在しており、この工場の価値はプレスすることによってのみ生まれています。

どんなに仕組みを変えても、「プレスする」ことをやめてしまったら、この工場の存在意義がありません。

知的生産でも同じことです。扱うものが有形か無形かというだけの違いです。

そういう視点で見れば、私たちが普段仕事だと思っていることが、実はほとんどはムダなのだということが分かるはずです。

さて、改めてこちらのマトリクスです。

付加価値が高いか低いかに応じて、左右で「ムダ」と「仕事」に分かれています。

この中でも特に「面倒くさい」と感じるべきは左の二つ「小さいムダ」と「大きいムダ」です。

右下の「生産性の低い仕事」、というのも面倒くさいと感じがちですが、これに関しては少なくとも付加価値が出ているという点では優先順位は低めです。

右上の「生産性の高い仕事」も面倒くさいという人は、ニートとして生きることを模索してください。

そして、小さいムダと大きいムダであれば、時間のかかる大きいムダのほうがより「面倒くさい」と言えます。

私が新入社員や後輩によく言うのが、「付加価値の無い作業を面倒くさがれ」ということです。

業務改善という言葉はよく使われますが、では何から手を付けるのか分からない人が多いです。まずは、日常の業務のすべてを「付加価値があるのかどうか」という視点で見ること。

付加価値の無い仕事、作業、動作はすべて改善の対象です。「面倒くさい」という観点で、改善すべきことをすぐに見つけ出せる感覚が大事なのです。

業務改善の三原則「無くす→減らす→変える」

さて、「正しく面倒くさがる」ことによって、改善すべき業務を発見したら、このプロセスで改善手法を考えてみます。

①何とかこの業務を無くせないか?

これが基本にして、効果が最大です。

当たり前ですが、無くしてしまえばそこにかかる時間はゼロになりますから、丸々工数削減になります。

「これをやらなかったら、誰が困るのか」という視点で見ると良いです。困りそうな人がいたら、その人に聞いてみてください。

「この業務をやらなかったら、困りますか?」と。

意外と困らないこともあるはずです。工数がたくさんかかっているなら尚更、「ああ、そんなに時間かかってるなら、やらなくても大丈夫だよ」と言ってくれることも結構あります。

そう言ってもらえたらしめたもので、それだけで改善完了です。

無くした時に支障が出る場所はないかを他の人の視点から見てもらうことも重要です。自分の視点だけだと、思わぬところにモレがあり、無くした後にクレームをいただくことも・・・

②回数や頻度を減らすことはできないか?

無くすことが難しい場合は、これです。

例えば毎週行っている作業は、隔週でも問題ないのではないか?というようなイメージで、減らすことを考えてみます。

これも注意点は、無くす時と同様です。

問題が出ないかどうかは、利害関係者に確認したり、他の人の視点で見てもらったりして確認することが大事です。

③やり方を変えてみる

無くすのも減らすのも難しいということであれば、最後の手段です。

例えば、極端な話アウトソースしてしまうということもひとつの手でしょう。ITスキルのある方なら、簡単なパソコン作業なら自動化できるかもしれませんね。

今のアウトプットの質を維持した状態で、かかる時間を少なくするためにどのようなやり方がベストかを模索していきます。

 

改善というといきなり③の「やり方を変える」から入ってしまうのはありがちな失敗です。

まずは、①②を検討した後に初めて③です。

自分の仕事が「ムダ」だと認めることに抵抗がある方も少なからず居ます。だからこそ、「面倒くさがる」マインドが大事なのです。

その業務を担当している本人は「この業務は必要なんだ」と思い込みがちです。大抵、そんなことはありません。今の仕組みで必要なだけで、仕組みを変えれば無くせる場合がほとんどです。

「面倒くさい」「意味が無い」と思うマインドがあってこそ、「あ、この仕事はこういう風にすればやらなくても問題ないじゃん」と気付けます。

業務改善が当たり前の空気をつくる

これも重要なのですが職場の空気を変えていくことです。

「この業務ムダですよね」とかズバっと言っちゃう人は煙たがられることもあります。私も経験あります。

けど、それが言い出しにくい空気を作ってしまうと、皆が心の中で「ああ、この仕事面倒くさいなあ」と思いながら仕事をする職場の出来上がりです。

なので、日常的に職場のムダを探し、付加価値が無くて時間ばかりかかっている業務を挙げてくれた人は褒めなくてはいけません。

私も新入社員や後輩に「この仕事面倒でしょ?どうやったらやらずに済むか考えてよ。そしたらやめちゃっていいからさ」とよく言います。

そうすると結構皆考えてくれるものです。特にマネジャーがこういう考え方を浸透させた職場は、改善のアイディアがメンバーからどんどん出てきます。

そうやって、「ポジティブな面倒くさい」が溢れる職場を作っていくのが、業務改善をガンガン進めるポイントです。

最後に

長々書いてきましたが、この考え方は仕事を楽しむ秘訣だと私は考えています。

誰しも楽しくない仕事というのはあるものです。

楽しくない仕事というのは大抵付加価値の低い仕事です。つまり、改善の対象なのです。

付加価値の高い仕事でも楽しくないという人は、転職を考えたほうがいいかもしれませんね。

楽しくない仕事、やりたくないですよね?どうやったらやらなくて良くなるかを全力で考えてみませんか。

今までやりたくないなあと思っていた仕事を、明日から二度とやらなくていい。それが確定した瞬間の爽快感が、改善の醍醐味です。

楽しくない仕事を無くしていくと、どんどん楽しい仕事ができる時間が増えてきます。

そうすれば、きっと仕事をするのが楽しみでワクワクするようになっていくでしょう。

おわり

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