この記事では法律で規制されている解雇について書いていきたいと思います。
解雇の正当性については民事問題として争われることも多くあります。
ですが、そもそも解雇そのものについて法律で禁止されていることは沢山あるので、人事担当者としては頭に入れておくことが必要です。
では、ここから各項目についてです。
条文はこちらから↓
国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇
国籍や信条等を理由としては、労基法において、労働条件についての差別的取扱を禁止しており、解雇も含まれます。
ちなみに、これには「採用」は含まれないので、例えば宗教を理由にして採用を拒否したとしても基本的には違法ではありません。人道的にはどうなの?って感じはしますけどね。
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
労働基準法三条
業務上負傷や疾病または産前産後の休業期間およびその後30日間の解雇
「育休期間中に解雇」なんてシャレになりませんよね・・・。とはいえ、育休復帰後すぐに退職したりする人もいてなんだかなあって感じです。認められた権利だから、別に間違っちゃいないですけどね。
根拠になる条文は以下のとおり。
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。○2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。(解雇の予告)
労働基準法十九条
労働基準監督署への申告を理由とする解雇
これがOKになってしまうと労働基準監督署への申告をしにくくなってしまいますよね。
根拠になる条文は以下のとおり。
事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
労働基準法百四条
○2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
(報告等)
不当労働行為としての解雇
不当労働行為とは、労働者の団結権を侵害することを目的とする使用者の行為のことを言います。
使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。〇1 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。労働組合法七条
性別差別としての解雇
今のご時世、こういった考え方は減ってきていると信じたいですが、まだまだ男性がメインで女性がそれをサポートするのが職場であるべき役割という論調も残念ながらあります。
さすがに解雇まではなかなかないかもしれませんが、配置・昇進については普通に見られますよね。
事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの三 労働者の職種及び雇用形態の変更四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新男女雇用機会均等法六条
労働契約法十六条
労働契約法の十六条では、それまで判例法理であった解雇権乱用について、明確に条文化されています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
労働契約法十六条
解雇が正当なものであると認められるには、「客観的に合理的な理由があり」「社会通念上相当である」と認められる必要があります。とはいえ、各案件に対して個別判断になるので、実際にこの条文に反するかどうかは裁判所での審理によることになります。
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まとめ
最後の方は疲れてきて少しサボった感がありますが、法律による解雇の規制についてまとめてみました。
日本の解雇規制はかなり厳しく、それが日本独自の労働環境を作り出す大きな要因のひとつです。
欧米と比べてどちらが良い悪いという論争にはあまり意味が見出せませんが、この日本の雇用慣行には今大きな転換点が訪れているように思います。これからどうなっていくかはお楽しみ!
おわり
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