採用担当者の適性は人が好きかではなく、頻繁に視点を変えられるか

この記事では、私なりに採用担当者の適性として最も重要と考えることについて、書いていきます。

まず、一番最初にタイトル無視でいえば、一番は「会社と製品・サービスを愛していること」だと思います。月並みですが。

それは前提にあったうえで、私が重要だと思い、かつ常に意識していることは視点を「頻繁に」変えることです。

よく、「人が好きだから人事(採用担当)」という考えを聞くことがあり、これには賛否両論あります。

ですが、私見を述べれば、これはどちらでもいいです。ただ、私が必要だと思うのは、これから書く視点を変えるスキルです。

「人が好き」というのはあくまで主語は自分です。

自分の視点だけでしか見れないのであれば、それは採用担当としての適性に疑問符が付きます。

ただ、他の視点からも見ることができる人であれば、「人が好き」というのは立派な武器にもなり得ます。

なので、「人が好きかどうか」については、私はどちらでもよいと考えています。

採用に向かう心構えでいえば、書きたいことは山盛りにあるのですが、全部書くと長すぎるので、今回は「視点を変えること」に絞ります。

では、詳しく書いていきます。

採用担当者に必要な視点は三つ

採用担当者として活動する際、私は以下の三つの視点を頻繁に切り替えることを意識しています。

応募者の視点

現場の視点

経営者の視点

「頻繁に」切り替えるというのが重要だと個人的には思っています。

応募者の視点で見るのが得意な人、経営者の視点で見るのが得意な人、いろいろな人がいますが、すべてをバランスよく持つことが望ましいです。

ベテランの採用担当の方には当たり前かもしれませんが、これとっても難しくて、なかなか自分もできていないと感じるときも多いです。

もちろん、「自分自身」の視点もあるのですが、それは意識するまでもなく入ってくるので、ここでは書きません。

ひとつずつの視点について、もう少し詳しく見ていきます。

応募者の視点

特にそこそこの規模の中堅企業に多いように感じますが、採用は「企業が応募者を選ぶもの」という感覚が抜けない人はまだ割といます。

時代は逆で、「応募者が企業を選ぶもの」になっています。特に、企業が欲しがる優秀な人ほど顕著です。

上から目線の面接、遅い連絡対応、応募者はどんどん離れていきます。

私が常に意識していることは、「まずは選ばれること」

応募者から、学生から、選ばれて初めて、その方と弊社がマッチするのかを考えることができます。

選ばれてもいないのに、選ぶ姿勢で臨んでは、良い方とは巡り会えません。

応募者の視点に立って取るべき行動は、細かいことの繰り返ししかありません。

求人の書き方は、「本当に知りたい情報が網羅されているか」「応募してみようと思えるか」読み手目線で考えます。

自社がアピールしたいことは、もしかしたら応募者にはどうでもいいことかもしれません。

他にも、メール対応・電話の折り返しは遅くとも半日以内。こちらからもこまめに連絡を取り、困っていることがないか確認する。

細かいことですが、「名前を何度も呼ぶ」とか。

応募者が気持ちよく感じてもらえる対応をひたすら追求します

それは特別なことではなく、「地味で当たり前のことをしっかりやる」ということだと思っています。

採用担当者の印象で会社を選ぶのは良くないとは思います。ですが、応募者から見た時には、採用担当者が一番目に入るのは事実です。

採用担当者の行動の良し悪しが、応募者がスタートラインに立ってくれるかを大きく左右します。

現場の視点

応募者が選考を通過し、入社してくれたら実際に働くのは現場です。

その現場を理解せずして良い採用はできません。

私は、とにかくいろんなところにフラッと行くことを意識しています。

自部署以外の人に何かお願いするとき、話したいとき、基本的には直接会いに行きます。

もちろん、遠い工場とかは電話で済ませたりもするのですが、顔を合わせてのコミュニケーションは非常に重要です。

そこでの雑談から、現場の生の情報がキャッチできます。

これは、応募者にとっても貴重な情報です。そんな情報をたくさん持っていれば、一回の接触で応募者に多くのことを伝えられます。

もうひとつ、現場の社員とコミュニケーションを取ることで、採用活動に協力してもらいやすくなります

「ちょっと今度この学生さんと30分だけ話してもらえませんか?」「このスライドに一言コメントもらえませんか?」そんなお願いが気軽にできます。

これも、副次的ではありますが現場の視点を持つことによって得られる効果です。

最近の私の課題としては、中途採用に立ち会ってもらう各部門の社員さんに「面接でどこを見ていいかわからん」と言われることです。

中途採用の面接は最近私も出させてもらえるようになって、確かに改善の余地があります。

このご意見に対してどのように対応するかは、今後の各部門との関係性も踏まえて重要。

現場ならではの視点はもちろん残したうえで、効果的に応募者の方とコミュニケーションしてもらうための仕掛けを、絶賛構築中です。

経営者の視点

最後に、やはり人事たる者常に経営者の視点であろうと努力すべきです。

企業の規模が大きいほど、いち採用担当者と経営者の間には大きな壁が存在します。

しかし、その壁をなんとかかんとかよじ登り、経営者と同じ景色を見ようと食らいつく姿勢が必要です

本当は人事のみならず全社員に必要だとは思いますが・・・特に人事には必要です。

「この応募者は自社のカルチャーにフィットするのか?」

「採用・教育にかかるコストは回収できるのか?」

「誰の部下に付けて、どう育てるか?」

「10年後のビジョンの中でどういう立ち位置になれそうか?」

役員だったら、社長だったら、どう考えるだろうか。

よく妄想しています。

あと、私は役員面接のあとに役員の方に感想を聞くようにしています。

そこから、「へー、こんな考え方で見ているんだな」と学びになることはたくさんあります。

この視点が無いと、自分の主観的な好みが先行してしまいがちです。

主観も大事なのですが、採用担当はあくまで会社を代表して採用活動をしているだけ。

そして、その会社を本来代表する立場なのは、経営陣です。

「会社として、この応募者はどうなのか」という問いを頭の中に常に持つ必要があります

 

まとめ

この記事では、採用担当として私が最も気を付けている「頻繁に視点を変える」ということについて書いてきました。

この視点を変えるというのは意外と意識していないとできないものです。

他にも細かいことはいろいろあるのですが、私の根幹になる考え方です。

タイトルで引き合いに出してしまいましたが、決して「人が好き」であることを否定するつもりはありません。

「人が好き」なのは本当に素晴らしいことなのですが、意識的にその気持ちを封じることもできるとなお素晴らしいのかなと

ただの友達関係なら封じる必要もないのですけどね。

あと、最後にもうひとつ付け加えたいのが、「自分が応募者の何かを見抜けるなんておこがましい」ということを常に頭に置いています。

だからこそ、応募者ひとりひとりに最大限の興味を持って向き合うために、謙虚さを常に忘れない。

本筋と違うのですが、書きたくなったので最後に書いてしまいました(笑)

私の根幹となる考え方の再確認の記事ですが、どなたかの参考に少しでもなれば幸いです。

おわり

採用担当者として、参考になった本の記事です→【人事の読書記録】「採用基準」伊賀泰代

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。