この記事では、タイトルずばり、リクルートの創業者である江副浩正さんの生涯について書かれた「江副浩正」についてのレビューです。
リクルートは人材輩出企業として有名ですが、そうなる土壌を作り上げた江副氏の考え方が垣間見える一冊でした。
いくつか要点を絞って、感じたことを書き綴っていこうと思います。
[blogcard url=”https://hrjob.info/book_report_feedback_introduction/”]自ら機会を創り出し機会によって自らを変えよ
リクルートの旧社訓として有名な江副氏の言葉ですね。
機会を創り出すことに関して江副氏は天下一品です。日本初の就職情報誌、「企業への招待」創刊など、多くの新規事業を開拓しリクルートを育てました。
しかし、私はこの言葉の真に重要なのは、後半の「機会によって自らを変えよ」ではないかと思っています。
機会というのは、実は割とその辺に転がっています。創り出すのは素晴らしいことですが、創り出さなくても機会は意外と近くにあります。
ただ、その機会をつかめる人はほんのひと握りです。
機会をつかむためには、自らが変わる覚悟をする必要があります。
江副氏自身も機会によって変わってきたのでしょう。
本書の序盤では、学生時代の江副氏はあまりパッとしない様子で描かれています。
江副氏は沢山の機会を、自身の手で行動することで、掴み取っていく過程で自信を日本有数の起業家へと変えていく様が、文章からも読み取れます。
これは本当に大事なことで、やはり行動するということは何物にも代え難いパワーがあります。頭の中でどれだけすごいことを考えていても、行動できなければ何の価値も生みません。
機会を目の前にして尻込みしない、行動できる自分を作っていけというのが、江添氏が社訓に込めたメッセージなのではないでしょうか。
社員皆経営者主義
江副氏は「社内皆経営者主義」を唱え、社員に自社の株式を持つことを奨励します。
これは、単に「株主になる」ということではなく、ゲマインシャフト(運命共同体)的な側面と、ゲゼルシャフト(利益共同体)的な側面を会社として併せ持つ集団であるという江副氏の意志の表れでもあったようです。
私は常々、社員は全員が経営者であるべきだと考えています。これは、株を持っているかではなく、意識の問題です。
経営者と一般社員の最大の違いは、私は「金銭感覚」だと思っています。
経営者にとって、お金はめちゃめちゃ大事です。社員がいくら大事と言ったって、お金がなければ大事な社員の雇用を守れないのですから。
どんな素晴らしい事業を行っていても、お金がなければ事業を継続できないのですから。
だから、ムダな経費にはとことん厳しくなるのです。一般社員でその意識を持っている人はそう多くはありません。
なぜなら、会社を、事業を、従業員を自分のものとして考えていないから。
けれどそれらを自分のものとして見られるようになると、仕事の見方が全く変わってきます。
会社の経費を使うということにどれぐらい敏感になっているか。
経費を使うのであれば、かけた費用の分はリターンを取らなくてはいけません。
一般社員にもこの意識をしっかり植えつけられている会社は本当に強いです。
「お金を手元に残す」それ自体は目的ではありませんが、崇高な目的を果たすためには必要不可欠なのです。
リクルートはそれができているからこそ、多くの起業家を輩出し、今も成長企業であり続けるのでしょうね。

リクルートの文化「個人の尊重」
最後に、リクルートの重要な文化として、「個人の尊重」を挙げておきます。
これこそがリクルートイズムの真髄と個人的には思っております。
なぜなら、先に挙げた機会を掴み取るための行動や、起業家精神、圧倒的な営業力など、リクルートの特徴とされるものはすべてこの「個人の尊重」に端を発するように思えるからです。
最近の言葉で言えば、「心理的安全性」とでもいうのでしょうか。
果敢なチャレンジ、冒険を笑わない、否定しない、応援する。
きっとそういう精神が根付いているのでしょう。
私が好きな言葉で「あなたの意見は私の意見に反する、しかしあなたがそれを主張する権利は全力で守る。」というのがあります。
自分の考えに反することや、一見無謀に思えるチャレンジを、否定ばかりしていては成長はありません。
今は少しずつ変わってきていますが、昔の日本の会社は家族的で、個人よりもむしろ会社が第一という考え方が多数派でした。
そのため、少なからず会社という集団のために、個人が尊重されないことというのも多くあったことは想像できます。
というか、現代でもまだまだそういうことはありますよね。
そんな中でこのポリシーを掲げ、それを守り抜いてきたからこそ、強い人材が多く育ち、日本有数の企業へと成長を遂げたのだと感じました。
リクルート事件という大スキャンダルを乗り越えて、今なお成長し続けるリクルートの秘密に少し触れられたような気分です。
江副氏の偉大さにも改めて感銘を受けました。
なんだかリクルートで働いてみたくなっちゃいますね笑
おわり
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