この記事では労働基準法の総則について、要点をまとめていきます。
労働基準法とは
労働基準法の役割はふたつです。ひとつは労働条件の最低基準を定めること。もうひとつは、法律に違反した使用者を処罰することです。
労働関係においては、労働契約に基づいて労働者が使用者に労働の提供を行います。それに対して使用者は賃金を支払います。使用者と労働者は対等な立場で労働条件を決定すべしというのが本来ですが、使用者の方がどうしても立場が強くなりがちです。
そのため、労働者に不利益な労働条件が決定されやすいおそれがあるため、それを抑制する役割が労働基準法にはあります。
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労働基準法の適用事業
労働基準法は、事業の種類や規模を問わず、労働者を使用するすべての事業または事務所において適用されます。事業の単位は、場所的観念と独立性によって決まります。
例えば、同じ法人に所属している事業所であっても場所が分散しているのであれば基本的には別の工場とみなされます。他にも、同じ場所にあったとしても、例えば工場と診療所で業務や労務管理が全く独立した部門としてそれぞれが存在している場合があります。そういった場合はそれぞれ独立した別の事業として扱われます。
また、外国人労働者であっても労働基準法は適用されます。その際には違法就労かを問いません。
労働基準法上の労働者
労働基準法において、労働者とは職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいうとされています。
この「使用される」というのは、他人の指揮命令下における労働力の提供を言います。実際に使用従属関係にあるかどうかは、業務の内容、遂行の仕方、勤務場所、勤務時間等の拘束性によって判断されます。
例えば以下のような場合は労働者に該当します。
・法人の重役で業務執行権または代表権を持たない者が、工場長・部長の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労働者
・形式上は請負契約のような形でも実態において使用従属関係が認められる
・研修医として勉強を目的として医療の仕事に就いている
労働基準法上の使用者
労働基準法でいう「使用者」とは、個人企業であればその企業主個人です。会社その他法人組織であれば、法人そのものが使用者となります。
また事業の経営担当者である法人の代表者や事業主のために行為をするすべての者も含まれます。
「事業主のために行為をする」とは、人事・給与等の労働条件の決定や、業務命令の発出、具体的な指揮監督を行うこと等です。部長や課長が一般的に言えばそこにあたります。
使用者かどうかの判断は、実質的に一定の権限を与えられているか否かによるので、単に上司の命令を伝達しているだけの場合は使用者とは認めれられません。
労働基準法の適用除外
労働基準法が除外されるのは大きく下の3パターンです。
- 同居の親族のみを使用する事業
- 家事使用人
- 一般職の国家公務員
「同居の親族のみを使用する事業」は常時同居の親族以外の労働者を使用する事業は例外として労働基準法が適用されます。
「家事使用人」とは、家庭において家事一般に従事する者です。家族の指揮命令下に置かれている場合は家事使用人として適用除外の対象ですが、請負事業者から指揮命令を受けている場合は労働者として労働基準法が適用されます。
「一般職の国家公務員」は、造幣局や国立印刷局などの職員は労働基準法が適用されます。普通の労働者と仕事内容が変わらないからです。
おわり
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