労働基準法の要点~労働契約・労使協定編~

この記事では、労働基準法の中の労働契約・労使協定について要点をまとめていきます。

法律違反の契約

労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約はその部分については無効となります。

そして無効となった部分は労働基準法で定める基準によって補充されます。労働契約の労働条件の方が労働者にとって有利な場合は、その部分は有効になります。

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契約期間の制限

労働基準法には、長期の拘束を防ぐため契約期間に上限を設ける規定があります。

労働契約は、期間の定めがないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは3年(一定の労働契約にあっては5年)が上限となっています。

この5年が上限の仕事は、高度専門的労働者と満60歳以上の労働者です。ただし、高度専門的労働者でも専門的知識を必要とする業務に就いていない場合は上限は3年です。また専門的知識等であって高度のものというのは、一定の技術者等で1年あたりの賃金が1,075万円以上という条件もあります。

有期労働契約の更新をしないことを雇止めといいますが、雇止めの予告が必要なのが2パターンあります。

3回以上契約を更新している場合または雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している場合のどちらかの場合は、契約更新をしない場合には期間満了の30日前までにはその予告をしなくてはなりません。

契約の解除の例外として、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超える労働契約を締結した労働者は1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることによりいつでも退職することができます。この規定は契約期間の上限が5年となる高度専門的労働者と満60歳以上の労働者の場合は除きます。

賠償予定の禁止

使用者は労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならないとされています。

実際の損害額に関わらず支払う額が予定されているものは違法となりますが、現実に生じた損害について賠償を請求することや、損害額に応じて賠償を請求する旨を定めることは違法ではありません。

またこの場合の契約の相手方は労働者に限定はされていません。

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前借金相殺の禁止

労働基準法では、使用者は前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金を相殺してはならないとされています。

労働者を拘束する目的の相殺は違法になりますが、単純に労働者に資金を貸すことや、友誼的な立場で行う金融、また労働者が自己の意志によって相殺することについては違法ではありません。

強制貯金・任意貯金

使用者は労働契約に付随して貯蓄の契約をさせたり貯蓄金を管理する契約をしてはなりません。労働契約に付随して行う貯金は例外なく禁止です。

一方、労働者からの委託を受けて貯蓄を管理する、任意貯金は可能です。ただし、労使協定を締結し所轄労働基準監督署長への届け出が必要です。

また社内預金の利率は最低年5厘であったり、労働者が返還を請求した場合は遅滞なく返還することというようなルールが定められています。

労働条件の明示

使用者は労働契約を結ぶときには労働者に対して労働条件を明示しなければなりません。その方法は原則として書面の交付ですが、労働者が希望した場合にはファクシミリ若しくは電子メールに代えることも可能です。

書面の交付で明示すべき労働条件は以下の通りです。

  1. 労働契約の期間
  2. 期間の定めのある労働契約の更新基準
  3. 就業の場所および従事すべき業務
  4. 始業及び終業の時刻
  5. 所定労働時間を超える労働の有無
  6. 休憩時間
  7. 休日
  8. 休暇
  9. 労働者を二組以上に分けて就業させる場合の就業時転換について
  10. 退職

また、以下の事項については書面の交付は義務ではなく口頭でも可能となっています。

  1. 昇給・退職手当・臨時の賃金・賞与等
  2. 労働者に負担させるべき食費、作業用品など
  3. 安全及び衛星
  4. 職業訓練
  5. 災害補償及び業務外の疾病扶助
  6. 表彰及び制裁
  7. 休職

これらの条件が事実と相違する場合は労働者は労働契約を即時解除できます。またこの場合、就業のために引っ越しをしていて14日以内に帰郷する場合は、使用者は必要な旅費を負担しなくてはなりません。

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労使協定

労使協定とは、労働基準法において禁止されている行為を適法に行うための手続きです。

処罰を免れる免罰的効力と、禁止されている法律行為も有効となる強行性の解除があります。

労使協定は労働者の過半数で組織する労働組合があればその組合と、無ければ労働者の過半数を代表する者と書面で締結します。

過半数代表者の条件は、管理監督者ではなく、投票・挙手などの手続きで使用者の意向に関係なく選出された者であることです。選出方法は投票・挙手以外にも労働者の話し合いや持ち回り等、民主的な手続きであることが必要とされます。

また使用者は過半数代表者が協定などに関する事務を円滑に行うための事務スペースの提供など、必要な配慮を行わなくてはなりません。

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おわり

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