労働基準法の要点~労働憲章編~

この記事では、労働基準法の中の労働憲章について要点をまとめていきます。

労働条件の原則

労働基準法では、労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすことができるものではならないと定められています。

その条件には労働者本人だけでなく労働者の「標準家族」も含まれます。標準家族の範囲は、その時の社会の一般通念から決定されるとされています。

また労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものなので、この基準を理由として使用者が労働条件を低下させることは許されません。労働条件とは、職場における一切の待遇を言い、賃金以外にも様々なものを含みます。この規定は社会経済情勢の変動など、他に決定的な理由がある場合は例外的に違反とはみなされません。

違反しても罰則はありません。

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労働条件の決定

労働条件は、労働者と使用者が対等の立場で決定すべきものです。また労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければなりません。

ただ、労働者と使用者の間に力の差があるのは事実であり、必ずしも対等の立場で決定することを求めるものではありません。違反時の罰則もありません。

平等取り扱いの原則

均等待遇の原則

使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取り扱いをしてはならないとされています。「労働条件」には雇い入れは含まれないことに注意が必要です。そしてこの差別的取り扱いは有利不利は問いません。

男女同一賃金の原則

また使用者は、労働者が女性であることを理由として賃金について男性と差別的取り扱いをしてはならないとされています。逆に言えば、賃金以外の差別については労働基準法上には規定はありません。それ以外の差別禁止は、男女雇用機会均等法で主に規定されています。

公民権行使の保証

使用者は、労働者が労働時間中に選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合は、それを拒んではなりません。

ただし、権利の行使又は公の職務の執行に妨げが無い限りにおいては、請求された時刻を変更することができます。

公民としての権利に該当するものの例としては、公職の被選挙権や行政事件訴訟法による民衆訴訟などがあります。また、公の職務に該当するものとしては、議員としての活動や労働審判員などが挙げられます。

一方、他の候補者のための選挙運動や、民事損害賠償すなわち自分のための訴訟は公民権行使には含まれません。また、予備自衛官や非常勤の消防団員は公の職務には該当しません。

この時間は有給扱いとすることは求めていません。

また、会社の承認を得ずに公職に就任したとしても、それを理由にして懲戒解雇することは許されません。

労働者の人権擁護

強制労働の禁止

使用者は暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意志に反して労働を強制してはならないとされています。

この規定は、必ずしも労働者が現実に労働することを必要とせず、強制しただけでもアウトです。詐欺の手段は、強制ではありませんので本条には該当しません。

この規定の違反には労働基準法上最も重い、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金が科せられます。

中間搾取の排除

何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないとされています。逆に言えば、法の定めがあれば可能ということになります。具体的には職業安定法に基づいて許される場合がそれに該当します。無許可派遣もは労働者派遣法には違反しますが、労働基準法違反にはあたりません。

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おわり

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