【5分で読める労働判例】マナック事件~人事考課~

マナック事件の概要

X(原告)はY社(被告)に昭和45年に入社。平成4年4月からは業務課主任の職に就いていた。

Xは平成6年6月に勤務中に同僚の前で行った経営陣批判発言について、直属の上司から注意を受けていた(A事件)

またXは、同年7月には会長からも呼び出し注意を受けたが謝罪を拒否した(B事件)

Y社は職能資格等級規程上の降格自由「勤務成績が著しく悪い時」に該当するとして、Xを降格処分にした。

また、平成6年から同10年までの間、昇給についての人事評定においてXを最低ランクとし、賞与についても同期間の業績評価を最低評価としていた。

広島地裁では企業の行う人事考課は、その性質上広範な裁量にゆだねられるとし、降格処分と昇給決定は不合理ではないが、賞与の決定については制裁に該当し、労基法91条の限度を超えるとして違法であると判断した。

その後双方ともに控訴し、広島高裁では降格処分に関しては合理性が認められたが、昇格と賞与の決定については違法なものであるとされた。

労基法91条

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

マナック事件のポイント

本件のポイントは人事考課の考課対象期間が就業規則において明確に定められていたものの、A事件及びB事件が起こった期間以外の人事考課にまで影響が及んでいる点である。

高裁での判決では、昇給の場合は1年間、賞与の場合は半年間の人事考課期間のうちで、A事件およびB事件が起こった期に関してはいずれも最低評価の決定を指示している。

一方で、A事件およびB事件が発生した期間以外の人事考課期間の最低評価に関しては、「人事考課規程に定めた裁量権を逸脱する」として否定している。

また、降格処分については職能資格の引き下げは制度上も運用上もあり得ることを前提として、Xの等級に必要とされる能力の欠如を理由に実施されていたため、十分に合理的であると判断された。

以上より、人事考課については基本的には会社側にかなり広い裁量権が認められてはいるものの、就業規則上の基準を明らかに逸脱している場合には、その違法性が疑われる傾向にあると言える。

 

おわり

 

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