【5分で読める労働判例】横浜南労基署長(旭紙業)事件~労働者性の有無~

横浜南労基署長(旭紙業)事件の概要

X(原告)は自分のトラックをA社の工場に持ち込み、同社の製品の運送業務に従事していた。

運送物品、運送先および納入時刻以外については特段指示を受けることは無く、勤務時間も定められていなかった。

また、報酬はA社独自の運賃表で出来高が支払われており、トラックの購入代金やガソリン代、高速道路料金等の経費はXが負担していた。

ある日Xは工場の倉庫で積み荷の作業をしていた際に足を滑らせて転倒し、骨折などのケガをした。Xは労災給付の請求を行ったが、Y(横浜南労基署長・被告)はXは労働者には当たらないとして、労災給付の不支給を決定。Xが訴訟を起こし、最高裁までもつれたが最終的には最高裁はXの労働者性を否定した。

横浜南労基署長(旭紙業)事件のポイント

労基法上の「労働者」の定義は「使用される者で、賃金を支払われる者」

その判断のポイントは以下の通り

  1. 業務諾否の自由の有無
  2. 業務遂行における使用者の指示の程度
  3. 時間的・場所的拘束性
  4. 労務提供の代替性
  5. 報酬の労務対称性
  6. 事業者性の有無
  7. 専属性
  8. その他の事情

1.~5.を「使用従属性」と呼び、この中でも本判決では、2.業務遂行における使用者の指示の程度と3.時間的・場所的拘束性が重視されている。

XはA社の指示に従い、事実上は時間的・場所的に拘束されていたが、最高裁はその指示は「運送という業務の性質上当然に必要」で、拘束の程度もゆるやかであったとしている。

また、トラックを保有し必要な経費を自ら負担していたことによって、6.事業者性の有無においても「労働者ではなく事業者である」という判断を補強されている。

本判決で、トラック持ち込み運転手については、労基法上の労働者性は最高裁によって否定された。

契約上、個人事業主として扱われている就労者の労基法上の労働者性については、必ずしも否定される判例ばかりではないが、使用従属性の判断は基本的には厳格に行われる傾向にあるようである。

おわり

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です