【5分で読める労働判例】黒川建設事件~法人格否認の法理~

黒川建設事件の概要

X(原告)はAグループという企業グループのB社に期間の定めなく雇用されていた。Aグループの社主はY1(被告)であり、その後B社は資金繰りの悪化によって各部門を分社・独立させ当該部門の従業員も移籍させたのちに解散。また、B社の建設業務を移管されたY2社(被告)はグループの中核的存在であった。 XはそれぞれB社から分社したC社にて要職を歴任、その後C社を退職したが、在籍したいずれの会社からも退職金を受け取っていなかった。 C社の人事および財務管理はY2社が一括管理しており、実質決定権を掌握していたのもY2社の代表取締役であるY1であった。 XはYらが実質的にC社を支配していたため、法人格否認の法理が適用されるべきとして、Yらに対して未払い賃金および未払い退職金の支払いを請求した。

黒川建設事件のポイント

大きなポイントは法人格否認の法理。 噛み砕いて言うと、C社は実質的にはYらに支配されていたため、法人として独立しているとはいえず、そのためC社の取締役であったXは経営者ではなく従業員として取り扱われるべきだという主張。 本判決では、一部棄却された部分もあったものの概ね法人格否認の法理が適用されうるとしており、YらはC社の実質的な支配者として未払賃金債務および退職金債務から逃れることはできないとされている。この場合C社とその背後にいるYらを同一視することになる。 法人格否認の法理が適用される場合としては、例えば法人とは名ばかりで会社が実質的に株主の個人企業であったり、子会社が親会社の営業の一部門に過ぎない状態がある。 ただ、親会社が子会社に影響を及ぼすこと自体は珍しいことではないため、それだけでは足りず、
  1. 株主総会の不開催
  2. 業務の混同
  3. 財産や会計の混同
などの法人としての独立性を無視するような事実の積み重ねがあって初めて、法人格否認の法理が適用される。  

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