【5分で読める労働判例】日立製作所武蔵工場事件~時間外労働義務~

日立製作所武蔵工場事件の概要

X(原告)はY社(被告)の向上に勤務して品質と歩留まりの向上を管理する部署に所属していた。 ある時Xの手抜き作業が原因で製品の歩留まり率が低下。上司はXに残業して歩留まり率低下の原因の究明と推定のやり直しをするよう命じた。しかしXはこれを拒否し、命じられた業務は翌日に行った。 Y社はこれに対し、Xを出勤停止14日の懲戒処分とし、始末書の提出を命じた。しかしXは反省の態度を見せず、Xには4回の処分歴があったこともあり、Y社はXを懲戒解雇した。 Xは訴訟を起こしたが、最高裁ではXの訴えは棄却され、懲戒解雇の正当性が認められている。

日立製作所武蔵工場事件のポイント

Y社と労働組合の間には36協定が締結されており、就業規則にもその36協定に従って残業させることができる旨が定められていた。これは合理的な内容であり、それが具体的な労働契約の内容になると解される。 本件でポイントになるのは、労働者に時間外労働義務を負わせるためには ①就業規則、労働協約などによる包括的な同意 ②個々の労働者が個別に具体的な時間外労働の内容に同意 のどちらが必要かということである。 結論としては①の包括的な同意で十分であるという見解を最高裁が示したことになる。 本件でY社と労働組合の間で締結されていた36協定の時間外労働を命じる理由の中には、やや曖昧なものもあったが(これはあるあるですよね・・・)、それでも企業が生産計画を迅速に修正する必要性は36協定の趣旨でもあり、合理性が認められている。 企業側の注意点としては、時間外労働を命ずる必要性が認められなかったり、労働者に命令に従えないやむを得ない事情があった場合は、36協定がきちんと整っていても時間外労働命令は無効になる場合もあり得るということである。 また、本件の懲戒解雇の理由は過去の処分歴と反抗的な態度にあるので、1回の残業拒否で懲戒解雇に相当すると捉えるのも適切ではないと言える。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です