【5分で読める労働判例】秋北バス事件~就業規則の法的性質~

秋北バス事件の概要

X(原告)はY社(被告)に採用され、本件当時は営業所次長の職に就いていた。Yにおいては、Xの採用時から定年の制度は無く、途中で就業規則に定められたが、それもXのような主任以上の職にある者には適用されなかった。

しかし、Yはある時、突然就業規則を改定し、「従業員は満50歳、主任以上は満55歳を以て定年退職とする」旨を規定。Xが満55歳に達していることを理由に、Xに解雇を通知した。

Xは自身が同意していない同規定はXに対して効力は無いと主張して訴訟を提起。しかし、最終的にはXの請求は棄却され、解雇の正当性が認められている。

秋北バス事件のポイント

個別の従業員の同意を得ない就業規則の変更の有効性がポイントとなる。 最高裁判決では、「労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質から、合理的なものである限り、個別の労働者が合意しないことを理由に適用を拒否することは許されない」としている。

また、労働契約法9条、10条から、就業規則を従業員に不利益に変更する際にポイントになるのは以下の二点。
 
  1. 変更後の就業規則を従業員に周知
  2. 変更の内容が合理的である
 
【労働契約法】
第九条) 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
(第十条) 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

  この場合の「周知」とは、「労働者が知ろうとすればいつでも知ることができる状態」にすることを言い、一人一人に説明したり、合意を取る必要はない。

また、就業規則の変更においては労働者の過半数代表から意見を聴取する必要があるが、その際に必ずしも合意は必要なく、いわば会社側は一方的に変更することができる。

しかし、「不利益変更が合理的であるか」の判断には、会社側が真摯な姿勢を見せているかも大きなポイントにになり、過半数代表との交渉状況もそれに含まれる。 そのため、会社側としても誠意を持って過半数代表との交渉に臨むのが望ましいと言える。  

おわり

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