秋北バス事件の概要
X(原告)はY社(被告)に採用され、本件当時は営業所次長の職に就いていた。Yにおいては、Xの採用時から定年の制度は無く、途中で就業規則に定められたが、それもXのような主任以上の職にある者には適用されなかった。
しかし、Yはある時、突然就業規則を改定し、「従業員は満50歳、主任以上は満55歳を以て定年退職とする」旨を規定。Xが満55歳に達していることを理由に、Xに解雇を通知した。
Xは自身が同意していない同規定はXに対して効力は無いと主張して訴訟を提起。しかし、最終的にはXの請求は棄却され、解雇の正当性が認められている。
秋北バス事件のポイント
個別の従業員の同意を得ない就業規則の変更の有効性がポイントとなる。 最高裁判決では、「労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質から、合理的なものである限り、個別の労働者が合意しないことを理由に適用を拒否することは許されない」としている。
- 変更後の就業規則を従業員に周知
- 変更の内容が合理的である
また、就業規則の変更においては労働者の過半数代表から意見を聴取する必要があるが、その際に必ずしも合意は必要なく、いわば会社側は一方的に変更することができる。
しかし、「不利益変更が合理的であるか」の判断には、会社側が真摯な姿勢を見せているかも大きなポイントにになり、過半数代表との交渉状況もそれに含まれる。 そのため、会社側としても誠意を持って過半数代表との交渉に臨むのが望ましいと言える。
おわり
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