金銭的報酬は動機付け要因になり得るか




皆さんは、お給料が高いと仕事へのやる気が上がりますか?

この問いへの答えは、様々分かれますが、実際問題として社員のモチベーションを引き出す手段として金銭的報酬はよく使われます。「成果主義」という言葉は、日本にはなかなか定着しませんでしたが、欧米では当たり前の考え方です。

この記事では、金銭的報酬は動機付け要因となりうるのかを考えてみます。

ハーズバーグの二要因理論

人事担当者には有名なこの理論。

こちらの記事で詳しく解説しております

ざっくり言うと、労働環境を取り巻く要因には衛生要因(組織に参画し続けるか否かに影響する)と、動機付け要因(モチベーションの高低に影響する)があり、お互いに干渉しあうことは無いという理論です。

で、この理論に従うと金銭的報酬は基本的には衛生要因です。

つまり、金銭的報酬が高額だからといって仕事に対するモチベーションが上がることはないということですね。

ですが、「動機付けのために高業績者に多くの報酬を」という考え方はよく聞く話です。成果主義とはいわないまでも、多くの企業がそういう考え方のもとに報酬を決めていると思われます。

外発的動機付けと内発的動機付け

人間の動機すなわちモチベーションについても少し触れておきます。

動機には外発的動機付けと内発的動機付けの二種類があると言われます。

外発的動機付けは外からの何らかの要因によって惹起される動機のことです。金銭的報酬が動機付けに寄与するということであれば、この外発的動機付けに分類されます。

一方、内発的動機付けは自身の内側から出てくる、「理由はよくわからないけどこれがやりたい」という動機のことです。

一般的に、内発的動機付けの方がより強いモチベーションにつながるとされているようです。

また、デシという学者が有名ですが、この二種類の動機については様々な実験もなされています。

その中で、外的な報酬を与えられることによって仕事に対する内発的動機付けが低下するというアンダーマイニング効果も提唱されています。

「アンダーマイニング効果」の実効性

もしこのアンダーマイニング効果が確実に働くということであれば、これは動機付けとしての金銭的報酬の存在意義を明確に否定することになります。

まさしく、金銭的報酬を否定する立場の論拠の多くは、この問題を大きな欠陥として指摘しています。

これについても、過去に多くの実験がなされており、賛成反対それぞれの立場があります。

こちらのペーパーを参考にしております→https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/6425/1/keiei280-12.pdf

ただ、結果的にこのアンダーマイニング効果が確実に働くということは実証しきれていません。

そもそも人間心理に関する理論で100%なんてことはそうそうあり得ないですし。

元々の内発的モチベーションがとても高い場合は、有意にアンダーマイニング効果が見られることが多いようです。

一方で、元々の内発的モチベーションが著しく低い場合はどうでしょう。

この場合、そこから更にモチベーションが低下するということは起こりにくく、逆に金銭的報酬によって仕事そのものに興味を持たせる効果があるという主張もあります。

報酬を受ける側の人のモチベーションの高さについて論じ出すと、正直キリがないです。

そりゃあ、めちゃめちゃモチベーションが低い人の動機は、更に下げるのは難しいでしょうしね。

ただ、現時点で明確に高い内発的モチベーションを持っている人にとっては、アンダーマイニング効果が働きやすいという傾向はありそうです。

職種に分けて考えてみる

次に、職種に分けて考えてみます。

職種というのは、成果を定量的に測れるか否か。という観点で見ていきましょう。

「どんな仕事でもKPI、KGIを設定して定量的に評価すべき」みたいな議論はいったん置いておきます。

少なくとも日本には仕事の成果というのを数字ではっきり示せる人と、そうでない人でいえば後者の方が圧倒的に多いという認識です。

で、仕事の成果を定量的に測れる人、すごくわかりやすく言えば売上で評価される仕組みでの営業さんとかですね。

もちろん営業でなくても数字としてキチンと会社から目標を課されて、達成度を数字で表せる人もいるでしょう。

こういった場合、その数字に金銭的報酬が連動する仕組みになっていれば、それは仕事のモチベーションに繋がる場合が多そうです。

金銭「のみ」がモチベーションという人はあまり多くはないかもしれませんが、少なくともそれなりの影響を与えていることは想像できますね。

一方、定量的に測れない人はどうでしょう。

例えば、それこそ人事の労務担当とか。明確なKPIが設定されている方が稀なのではないかと・・

そういった場合、頑張っていろいろな貢献をしたとしても評価されるとは限りません。

ブルームの期待理論を参考にしても、その状況で金銭的報酬が動機付けに寄与することは考えにくいです。

ちなみに、期待理論はすごくザックリ言うと、「頑張って成果を出せば報われる」という期待に基づいて人のモチベーションは決定づけられるというものです。

成果連動か固定報酬か

職種について考えた後に、与えられる金銭的報酬の決定方式について考えてみましょう。

つまり、ある程度成果に連動したものであるか、成果に関係なく固定されたものであるかです。

成果に連動したものである場合、上述の営業の例でいえば分かりやすいですが、ある程度しっかりした評価基準が必要です。

なので、成果を定量化しにくい仕事でも、何とか見える化して「これを達成すればこれだけの報酬」というのを本人に意識させなければ、動機付けにはなりにくいでしょう。

また、固定式の報酬であれば当然それ自体が動機付けになることは考えにくいです。

なので、報酬が成果に連動しない場合は、他の要素で動機付けを図っていくことになるでしょう。

まとめ

ここまで考えてみて、金銭的報酬が仕事の動機付けになるのは、「状況によってはあり得る」というのが妥当でしょうか。

半端な結論でゴメンナサイ・・・

重要なポイントとしては以下2点。

①元々の社員の内発的モチベーションが高くないこと

②成果→評価→報酬の関係が連動することが担保されていること

この2点がそろっている場合、金銭的報酬はそれなりに動機付けの手段として機能するように感じました。

これは理論ではなく私の実感ですが、特に①が重要ではないでしょうか。

内発的モチベーションが元々高い人には、あまり金銭的報酬は動機付けにはならないように思います。

私自身もおそらく内発的なモチベーションが割と高い方で、正直に言って金銭的報酬に無頓着だからです。

他にも、私の少ない経験の中ではありますが今まで見たモチベーションの高い人は大抵、金銭的報酬ではなく仕事そのものに動機を見出していました。

金銭的報酬がモチベーションを下げるところまでいくかはわかりませんが、「あまり効果が無い」ことが多いのではと感じますね。

成果にあまり連動しない金銭的報酬でも、別の方法で社員のモチベーションを引き出している会社はありますので、そういったところも是非参考にしていきたいところです。

 

おわり

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