ミルクボーイで覚える傷病手当金

「うちのオカンがな、銀行の口座にお金が振り込まれてるけど何かわからんらしいねん」

「ほな俺が何のお金か一緒に考えてあげるから、どういう特徴があったか教えてよ」

「どうもそのお金はな、オカンが療養のために労務に服することができひんから支払われてるみたいなんよ」

「ほー・・・傷病手当金やないかい。”労務に服する”ってオカンが言うてたん?難しい言葉知ってるな。健康保険から支給される傷病手当金は病気やケガで仕事ができひん時に給料の代わりにもらえるんよ。ちなみに被保険者の資格取得前にかかった病気についての療養でも支給されるし、保険給付として受ける療養以外の療養についても支給されるんよ。ただし、任意継続被保険者やったり、特例退職被保険者には支給されへんけどね。オカンはきっちり一般被保険者やったんやな。その特徴は傷病手当金しかないよ!すぐわかったやんこんなもん!!」

「俺も傷病手当金かなと思ったんやけどな、オカンが言うにはそれまでもらってた給料と全く同じ額がもらえてるらしいねん」

「ほな傷病手当金と違うか~。傷病手当金の額は1日につき、支給開始月以前の継続した12ヶ月の標準報酬月額の平均の30分の1に相当する額の3分の2やからね。ややこしい書き方やけど要は概ね元の給料の3分の2よ。ちなみに、直近12ヶ月の標準報酬月額の平均の30分の1に5円未満の端数がある時は切り捨て、5円以上10円未満の端数がある時は10円に切り上げやで。いずれにしてもそれまでの給料と同額もらえるっていうのはおかしいね。ほな傷病手当金と違うか~。オカンは他には何か言うてなかった?」

「オカンが言うにはな、休み始めた最初の3日間はもらえる期間には算入されてへんらしいねん」

「傷病手当金やないかい。傷病手当金は仕事できんくなった日から3日間の待期期間があるんよ。オカンが言うてるのはそれのことや。ちなみにこの3日間は公休でも有給休暇でも欠勤でも関係なしよ。3日間の開始は仕事できんくなったその日やけど、その状態になった時が業務終了後やったら、翌日からカウントし始めるのも重要やで。あと一回待期の3日を終えた後に出勤したら病気が悪化してまた休んだ場合は待期はナシよ。まぁお前のオカンがそんな無理して仕事行くとも思えんけど・・・。やっぱりその特徴は傷病手当金よ!」

「俺も傷病手当金やと思ったんやけどな、オカンが言うにはもう3年前からずっと振り込まれ続けてるらしいねん」

「ほな傷病手当金と違うか~。傷病手当金の支給期間は支給開始から1年6か月と決まってるんよ。これはは現行制度では途中で仕事復帰したけどまた働けんくなった場合でも関係なく”支給開始した日から1年6か月”なんよ。けど今国会に提出されてる法案で、通算して1年6か月は支給が受けられるようにする変更が盛り込まれてるから来年の1月からはそうなるんちゃうかな。まぁいずれにしてもオカンの3年はもらいすぎやからそれは傷病手当金ではないなぁ。オカン他には何か言うてなかった?」

「オカンが言うには、俺の弟をこないだ出産したんやけど、その前後には支給されてなかったらしいねん」

「傷病手当金やないかい。お前と弟の年齢差がえげつないことになってるけどそれは置いといて。出産の日以前42日、出産の日後56日は出産手当金が支給されるんや。これをもらってるときは傷病手当金は支給されへんようになってるんよ。ただし、出産手当金が傷病手当金よりも少ない時は、差額は支給されるけどな。その特徴はやっぱり傷病手当金よ!!」

「俺も傷病手当金かと思ったんやけどな、オカンが言うには、会社からの給料も別でもらってるらしいんよ」

「ほな傷病手当金と違うか~。オカンの会社は働いてなくても給料払ってくれるんか、すごい会社や。けど給料を払われてる期間は傷病手当金を受け取ることはできひんはずやで。給料が傷病手当金より少ない場合はその差額はもらえるけどな。給料をもらいながらも普通に支給されてるんやったら、傷病手当金とは違うなぁ。オカン他には何か言うてなかった?」

「オカンが言うには、障害厚生年金をもらい始めたら支給がストップしたらしいねん」

「傷病手当金やないかい。傷病手当金は障害厚生年金をもらえる時は基本的には支給されへんのよ。ただし傷病手当金の方が多い場合は差額が支給されるで。出産手当金や給料の時と同じやな。ちなみにこれは労災保険の休業補償を受けてる時に業務外の傷病でも労務不能になった場合も基本的には同じ処理やで。さっきから聞いてる特徴からするとこれはもう傷病手当金に決まりよ!!間違いないわ!!」

「けどオカンが言うには傷病手当金じゃないらしいんよ」

「オカンがそう言うなら傷病手当金と違うやろ。最初からわかってたやん。俺がめっちゃ傷病手当金の説明してるときどんな気持ちやったん?」

「申し訳ないなと思って」

「じゃあほんまにわからんがな・・・どうなってんねん」

「オトンが言うには、老齢厚生年金とちゃうかって」

「絶対ちゃうやろ!もうええわ!どうもありがとうございました~」

おわり

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