「うちのオカンがな、今度仕事を休むんやけどどういう休みやったか忘れてしもたらしいんや」
「そんなことあるんか。ほな俺が一緒に考えてあげるから、その休みにはどんな特徴があったか教えてよ」
「オカンが言うにはな、その休みは年に5日間は取得することが義務付けられてるらしいねん」
「ほー・・・年次有給休暇やないかい。2019年4月1日から働き方改革の一環として年に5日の年次有給休暇の取得が義務付けられてるんよ。常識やないの。そんなん年次有給休暇で決まりよ!すぐわかるやんかこんなもん!」
「俺も年次有給休暇やと思ったんやけどな、どうもその休みを取るのには使用者の承認が必要らしいんや」
「ほな年次有給休暇と違うか。そもそも年次有給休暇は労働者に当然に与えられる権利なんや。労働者が年次有給休暇の取得を申し出た場合に使用者が拒否する権利なんてないし、承認されなかったとしても年次有給休暇を取る権利はある。これは最高裁判所の判決でも認められてるんや。使用者にできるのは時季変更をお願いすることだけで、それも適切な理由が求められるしなぁ。承認をもらわな取得できへんのは年次有給休暇とは違うなぁ。」
「けどオカンが言うにはな、上司は時間単位で取得してもええよって言うてたらしいねん」
「年次有給休暇やないかい。年次有給休暇は労使協定を結べば年に5日以内は時間単位で取得することができるんや。これは半日単位のいわゆる半休とは別枠で扱われるし有給取得率の向上には有効やな。使用者は時季変更権は使えるけど、日単位を時間単位にしたり、時間単位を日単位にしたりするのは時季変更としては認められてへんのや。時間単位で取得できる休みなんて年次有給休暇以外にあれへんから年次有給休暇で決まりよ!」
「たしかに俺も年次有給休暇やと思ったんやけどな、オカンの職場ではパートタイマーの人はその休みは取れへんらしいんや」
「ほな年次有給休暇と違うか~。年次有給休暇はパートタイマーでも契約社員でも雇用形態に関係なく取得できるからね。所定労働日数が週4日以下または年216日以下であって、週の所定労働時間が30時間未満やと付与される日数は違ってくるけど、全く取れへんっていうのはおかしいしね。ほな年次有給休暇と違うか。オカン他には何か言うてへんかった?」
「オカンが言うにはな、その日は休んでても賃金がちゃんともらえるらしいねん」
「年次有給休暇やないか。年次有給休暇を取得した場合は使用者は平均賃金か所定労働時間はたらいた場合の通常の賃金か標準報酬月額の30分の1を支払わないかんのよ。これはどれを支払うかは使用者が選択して就業規則に明示されてるはずよ。休んでてお金がもらえるのは育児休業給付とか、傷病手当とかもあるけどこれはそもそも使用者から払われるものと違うし、額もちょっと少ないからな。そらもう年次有給休暇で決まりよ!」
「そやな。けどオカンが言うにはな、その休みは半年くらい休職しとった人でも普通に付与されとるらしいねん」
「ん~ほな年次有給休暇と違うかぁ。年次有給休暇は半年以上継続勤務かつ全労働日の8割以上出勤した人に付くもんやからね。ちなみにこの全労働日は所定休日以外の日のことで、所定休日に労働してもその日は全労働日にはカウントされへんのよ。あと継続勤務っていうのは基本的に在籍期間のことやから、これは休職しててもOKなんやけどなぁ。半年くらい休職しとったら全労働日の8割以上は出勤してないから、翌年度の年次有給休暇は付与されへんよ。年次有給休暇ではないかぁ。オカン他には何か言うてなかった?」
「オカンが言うにはな、その休みを取っても不利益な取り扱いを受けることはないらしいねん」
「そら年次有給休暇やないかい。有給休暇取ったら給料下げられたりするとか、今どきなかなか聞かんレベルのブラック企業やで。というか年次有給休暇やなくても休みを取ったことによって労働者が不利益を被るのが認められてる制度とかみたことないよ。だからこれで年次有給休暇と断定していいのかはちょっとわからんけど、ここまでの情報からはやっぱり年次有給休暇よ!」
「けどオカンが言うには年次有給休暇じゃないらしいねん」
「オカンがそう言うなら年次有給休暇と違うやろ。最初からわかってたやん。俺がめっちゃ年次有給休暇の説明してるときどんな気持ちやったん?」
「申し訳ないなと思って」
「じゃあほんまにわからんがな・・・どうなってんねん」
「オトンが言うには、無断欠勤とちゃうかって」
「絶対ちゃうやろ!もうええわ!どうもありがとうございました~」
おわり
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