ミルクボーイで覚える裁量労働制

「うちのオカンがな、すごい長時間労働してるんやけど、労働時間についてどういう制度やったか思い出せんらしいねん」

「ほんまか、お前のオカンも大変やな。ほんなら俺がどういう制度でそうなってるか一緒に考えてあげるから、今の働き方にどんな特徴があるか教えてよ」

「オカンが言うにはな、何時間働いても給料が一緒らしいねん」

「ほー・・・裁量労働制やないかい。お前のオカンが外勤バリバリの営業とかやったら事業場外労働のみなし労働時間制かなとも思ったけど、そうじゃないやろ?その特徴で内勤ならもう裁量労働制で決まりよ!すぐわかったやんこんなもん!」

「俺も裁量労働制かなと思ったんやけどな、オカンが言うには普通にデータ入力とか書類整理の事務仕事をしてるらしいねん」

「ほな裁量労働制と違うか~。裁量労働制ていうのは専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の二種類あるんや。専門業務型はデザイナーとか証券アナリストとか、具体的な指示が難しい限られた業務にしか適用できひんし、企画業務型はもうちょっと範囲は広いけど、これもその名の通り企画系の業務で、時間で管理が難しいから会社が管理しないと決めた業務が対象なんや。単純作業がメインやったら裁量労働制は適用されへんな~。オカン他には何か言うてなかった?」

「なんでもオカンが言うには、深夜とか休日に働いた時だけはなぜか給料が増えてるらしいねん」

「裁量労働制やないかい。裁量労働制は労働時間の規制は外れるけど22時~5時に働いた時の割増とか、法定休日に働いた時の割増は外れへんのよ。だから残業はいくらしても増えへん給料が深夜とか休日で増えるんやったらそれはもう裁量労働制よ!」

「俺も裁量労働制かなと思ったんやけどな、オカンが言うにはある日社長の思いつきで急にそういう風になったらしいんよ」

「ほな裁量労働制と違うか~。裁量労働制を始めるには、専門業務型やったら労使協定の締結、企画業務型やったら労使委員会の委員の5分の4以上の多数による議決が必要なんよ。更に企画業務型の場合は労働者つまりはオカンの同意も必要やからね。社長の思いつきで急に始まったんやったら裁量労働制と違うな~。オカン他には何か言うてなかった?」

「オカンが言うにはな、こういう働き方をしてる会社は日本でも数少ないらしいねん」

「ほな裁量労働制やないかい。裁量労働制は使用者が無茶苦茶な使い方ができんように縛りも厳しいんよ。専門業務型は指定されてる業務以外は原則認められへんし、企画業務型も労使委員会の決議の後に労働基準監督署長にも届出んとあかんし、さらに個別の労働者の同意も必要なんよ。当然長時間労働も厳しい目で見られるから、平成30年の就労条件総合調査では裁量労働制を導入してる企業は全企業のうち1%程度やで。やっぱり裁量労働制で決まりよ!」

「俺も裁量労働制やと思ったんやけどな、オカンはまだ新卒入社1年目なんよ」

「ほな裁量労働制と違うか~。まず事務作業の時点で専門業務型ではないし、企画業務型の場合も新卒入社1年目やと具体的な指示を受けながら仕事してるやろから、例え配属が経営企画とかやったとしても裁量労働制を適用するんは厳しいやろな。その辺も対象になる労働者の範囲を入社5年以上~とかっていう形で労使委員会で定めておく必要があるで。というかオカンが新卒入社1年目でお前は何歳なんや?まぁとにかく裁量労働制ではないかもしれんな。他に何か言うてなかった?」

「オカンが言うにはな、オカンの働き方は”定額働かせ放題”とか陰口叩かれてるらしいねん」

「そらもう完全に裁量労働制よ!本来、時間と成果の関連が薄いからこそ使われる制度のはずが、実際はここまでワシが散々しゃべってきたような規制を無視して、裁量の無い労働者に裁量労働制を適用する悪質な会社もあるんよ。最近やと2019年に某建築設計事務所で長時間労働に起因する精神障害が労災と認められたな。たしかに裁量労働制はうまく使えば短時間でササっと成果出して労使双方ハッピーになれる制度やけど、実状はそう簡単ではないんやで。その陰口はもう裁量労働制しかないよ!これは決まりや!」

「けどオカンが言うには裁量労働制じゃないらしいんよ」

「オカンがそう言うなら裁量労働制と違うやろ。最初からわかってたやん。俺がめっちゃ裁量労働制の説明してるときどんな気持ちやったん?」

「申し訳ないなと思って」

「じゃあほんまにわからんがな・・・どうなってんねん」

「オトンが言うには、フレックスタイム制とちゃうかって」

「絶対ちゃうやろ!もうええわ!どうもありがとうございました~」

おわり

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