この記事では中原淳先生が書いた「フィードバック入門」という本について書いていきます。
私自身、最近後輩などにフィードバックをする機会が多かったので、この本はとても参考になりました。
この本の内容を参照しつつ、改めて私なりのフィードバックの順序やポイントをまとめていこうと思います。
フィードバックの手順
フィードバックをするときの手順は大まかに以下の通り。
①信頼感の確保
②事実の通知
③問題行動の確認
④振り返り支援
⑤今後への期待
この順番で行っていきます。
ちなみに、フィードバック面談関連ではサイバーエージェントの曽山さんの動画も、ポイントが簡潔でわかりやすいのでいつも参考にしています↓
この記事では曽山さんの動画から学んだ内容も含んでいます。
※他にもいろいろ参考になるのがあります。
では、5つのプロセスについて1つずつ順番に見ていきます。
①信頼感の確保
まず1つ目。信頼感の確保です。
これには普段からのコミュニケーションはもちろん大切です。加えて、どれだけ普段から部下の様子を見ているかが重要になります。
そのために著者が書いている重要ポイントとして、SBI情報の収集があります。
S:Situation、B:Behavior、I:Impact。平たく言えばどんな状況で、どんな行動が、どう駄目だったのか。普段からメモなどをして残しておくことです。情報収集によって、「ちゃんと見ている」ことを部下に伝える。コミュニケーションの頻度と質は日ごろから確保する。
その下積みによって、耳の痛いフィードバックが生きます。
また信頼感の確保とは少し異なりますが、フィードバックに入る前に脳内で予行演習をしておくことも重要です。簡単なメモをフィードバック用に作っておきます。本当に簡単に、5~6行程度です。ただ、事前に相手の反応も踏まえて想定しておくことでフィードバックの質は変わります。
②事実の通知
次に事実の通知です。ここから実際のフィードバックです。
まず、ロジカルに事実を通知します。決して相手の人格を否定してはいけません。収集したSBI情報を元に、こういう行動がこういう風に見えているよと伝えます。
気をつけることとしては、「私はこう思う」という言い方で自分の意見を明確に伝えることです。いきなり断定的に「ここがダメ」と言い切ってしまうと、相手も心を閉ざしてしまいます。
③問題行動の確認
次に問題行動の確認をしていきます。
先ほど通知した事実に関して、「問題がある」という認識を共有します。ただ、ここで素直に聞き入れてくれればいいですが、相手の反応は様々なものが考えられます。
パターン別に少し対応を整理しておきます。
怒り出す
「そこまで怒ると言うことは〇〇さんには強い思いがあるんだよね。現状の問題を○○さんはどうとらえているか教えてもらえるかな」など改善策を相手に対して尋ねてみます。
そこから相手の反応に合わせて、まずは怒りを鎮めてもらって冷静な話し合いにシフトしていきます。
沈黙する
沈黙する部下に対して変にフォローはしません。仕立てに出ると、逆にこちらの立場を危うくします。
沈黙は何を言っていいか分からない場合もあります。もしくは不満を沈黙で表している場合もあります。いずれにしろ、こちらも沈黙して相手の発言を待ちます。「沈黙では進展しない」ということを態度で相手に示します。そこで妥協して、部下に迎合してしまっては本当のフィードバックはできません。
言い訳を並べる
まずは一度相手の言い分を聞くことが大切です。何も聞かずにこちらの意見だけを伝えると、話を聞いてもらえていないと思い納得感は下がります。
まずは相手の話を全部聞き、〇〇さんが私の立場だったらどういう風にするかななどと相手の意見を求めてみることも大切です。この場合でも相手に問題の認識はしっかりと共有しておいてもらう必要があります。できない理由を潰すのは、次のステップで考えます。
何でも「大丈夫です」
相手は大丈夫と答えることによって、フィードバックを拒絶している場合が多いです。この場合は大丈夫と言う言葉に安心せずになぜ大丈夫なのかをしっかりと確認することが大切です。たいてい、根拠を聞いてみるとあんまり大丈夫じゃなかったりします。
無気力
特にやる気もないし、改善する気もない。そういう相手に対しては、現状維持は困難であることを伝える必要があります。実際のところ仕事において現状維持を選ぶことは、常に下から突き上げられることです。成長していかなければ、将来あなたのキャリアはこんな風になる可能性がありますよと伝える必要があります。
いずれも、部下が自分の問題行動に向き合えるようにする必要があります。
嫌われる可能性はあるということは覚悟する必要があります。嫌われることを恐れてネガティブフィードバックができないようでは、本当のマネージャーとは言えないと思います。
④振り返りの支援
ここまでがうまくできていれば、何が問題なのかということは部下とのあいだで合意できているはずです。
次は、なぜそういう行動をとってしまうのかを突き詰めます。そして、その原因に対してこれからどうしていくのかということを相手に考えて貰います。自分からこうしてほしいと言うふうに伝えるのは簡単ですが、それだけでは相手の考える力を奪ってしまいます。解決策へのコミットも弱くなってしまうでしょう。
原則は、自分で考えてもらって具体的な行動に落とし込んでもらうのが大事だと思います。
⑤今後への期待
これも曽山さんの動画を参考にですが、「課題ではなく、期待という言葉」を使います。当然相手を落ち込ませるためのフィードバックではありません。小さなことですが、前を向いてもらうためには大事です。
昨今ではコーチングの考え方が少しずつ広まってきています。また、タイトな職場の人間関係は以前より薄れています。そういった事情もあり、厳しいフィードバックに躊躇する上司はおそらく増えています。
上司にとっても、耳の痛いことを部下に言うのはストレスがかかるし、難しいことです。ですが部下の育成という視点では、やはり重要なスキルです。自分としても今後も経験を積んでいきたいと思っています。
また自分自身もフィードバックを受ける重要性もこの本を読んで感じました。自分がフィードバックを受けて初めて、どんなふうに言われると嫌なのか、どんなふうに言われれば前向きになれるのかなど相手の気持ちに立って考えることができます。それに自分がフィードバックを受けていないということは、なかなか成長できていないということにも繋がっていると思います。
そう考えると今の職場でフィードバック受けられてないな・・・などと考えてしまいますが笑
終わり
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