【人事の読書記録】「組織戦略の考え方」沼上幹

この本はおススメしていただいて読んだのですが、今弊社は組織体制も見直しをかける方向にある中で大変興味深く読みました。

あと、ヒエラルキー組織の基本的なところもしっかり再認識させてもらったのでそれもよかったかなと。

ティール組織は、言葉は割と一般的に知られましたが、なかなか根付いていかない感じなのかなとも思う中で、著者のバッサリした語り口が面白い本でした。

印象に残った部分をいくつかピックアップしてまとめてみます。

組織の基本はヒエラルキー

日本企業の組織ってだいたい「機能別」か「事業部制」が多いイメージですが、変わり種として「マトリクス型」とか、まだあまり使っている企業はないですが最近言葉は知られてきたティール組織なんてのもありますね。

本書の中ではマトリクスとかボコボコに貶して(笑)、機能別や事業部制に見られるヒエラルキー型組織について主に触れています。

ヒエラルキー型組織の基本は仕事のプログラム化(標準化と言った方がわかりやすいかも)と、その例外を階層を上って判断する、その判断機軸を再びプログラム化していくという過程の中で、組織の中に判断機軸を蓄積していくことにあります。

ヒエラルキー型は悪しざまに語られることも多いですが、著者曰く組織の基本はヒエラルキー型であり、組織の創造性もヒエラルキーの足腰の上に成り立つということです。

確かに、ヒエラルキー型がしっかり機能していないと、ルーティンワークのクオリティが上がっていきません。変化の激しい時代に新しいものを生み出す活動はもちろん大事ですが、組織の活動の大部分はルーティンワークで構成されています。

ヒエラルキー型がしっかり機能しないと何が起きるか。仕事はプログラム化されず、判断機軸が追加されることもありません。個人の中にしかノウハウが溜まらず、ミスや余分なやり取りが起きます。スムーズにルーティンワークをこなすことができません。

そうしてルーティンワークの処理やミスの対応に追われる組織では創造性の発揮しようもないのです。特に創造性を発揮すべきミドル~トップマネジメントをルーティンワークの火消しに奔走させず、本来の役割に集中させるためのヒエラルキー型なのですね。

一方で、ヒエラルキー型の構造は、ハイコンテクストな日本の文化をうまく中和できないと機能しないのかなーとも思います。そのハイコンテクストを、「情報の共有と透明性」というコンセプトで打ち破っている好例がサイボウズさんなのかもしれません。↓サイボウズの副社長の方の本に関する記事です。ご参考までに。

逆にハイコンテクストがヒエラルキー型の強さを殺してしまった一例が大東亜戦争の日本軍なのかなと。

日本軍の失敗をそのままに、最前線からの適切な情報の吸い上げ、迅速かつ明快な上層部からの意思伝達、こういったポイントを抑えきれずに、腐りかけたヒエラルキー型組織が多いのが日本の現状のように思えます。

ヒエラルキー型組織の肝は正確かつ迅速な情報、意思の伝達にあり、「察してほしい」の文化を根底に持つ忖度だらけの組織では成り立ちません。

↓この話はこちら、「失敗の本質」が興味深いです。

野中郁次郎先生の提唱するハイパーテキスト型組織は、ヒエラルキー型のメリットを最大限生かしつつ、創造性の発揮も追及した組織体系ですね。「知識創造企業」読み返そうと思います。

組織のボトルネックを探す

前章でヒエラルキー型をしっかり機能させるのが組織の要諦というような内容を書きましたが、では今の日本の多くの組織のヒエラルキー型がうまく機能しないのはなぜでしょうか?

前章の最後に書いた、情報・意思の伝達の曖昧さはあると思います。

本書には組織のボトルネックの話が出てきて、単純ではあるのですが自身に今まであまりその発想が無かったなと反省させられました。

そして、特に日本型組織のボトルネックとして取り上げられているのが、決断不足です。

決断できる人材の不足、なんとなく普段の企業人生活の中で皆さん感じることも多いでしょう。更に言えば、稀有な存在である「決断のできる」人に「決断以外の仕事」をやらせてしまっているということも問題です。

プレイングマネジャーとか最たる例だと思うのですが、おおまかに計画→決断→実行という流れの中で決断がボトルネックになっているときに、計画ばかり立てても仕方ないし、実行しまくったところでPDCAサイクルは回らず、場当たり的に終わってしまいます。

そうならないためにも、決断ができる人が決断に集中できる環境を作ることが重要です。

次章で権限移譲のことについて書きますが、本来マネジャーは少なくともある程度は「決断ができる人」のはずです。そのマネジャーをいろいろなものから解放するために権限を委譲し、決断に集中させる。

そうやって組織のボトルネックを開放に持っていくことで、ヒエラルキー型組織はうまく回り出すのではないでしょうか。

問題を解決するのは人

私が本書の中でも印象に残ったのは、「問題を解決するのは組織ではなくあくまで人である」というところかなと思います。

何を当たり前のことを・・・と思われるかもしれませんが、これって意外と分かっているようで本当にはわかってないんじゃないかなと。

戦略に沿って組織を変えただけで成果が出るわけではなく、組織を変えた結果として人が変わることによってはじめて戦略が実行され成果が出るのです。なんとなく組織を変えれば、それで結果が出るようなイメージを持ちがちなのではないかなと。実際私自身もそうだったように思います。

ある程度以上の規模の組織になると、劇的な環境変化か、組織に何かしらのテコ入れをしない限り、中にいる人が大きく変わるのは難しいです。

最近特に言われることではありますが、権限移譲は人に大きな変化をもたらします。

私自身、前職はアメーバ経営で2年目には小アメーバの数値責任を持っていました。そして、数値責任と同時にそのアメーバについてはかなり大きな権限を有しました。

その機会は自分を圧倒的に変えてくれたと感じます。何より、最終決定権を自分が持つという経験は「決める」ことの練習です。それほど大きな案件でなくとも、自分で「決定」をし、失敗して、それを振り返ることで次の決定に生かす。「決める」という行為のスピードとクオリティを上げるためには、この経験学習が非常に大きな意味を持っています。この「決める」トレーニングは、前章の組織のボトルネックを広げる糸口になり得ると私は考えています。

もちろん私もまったく未熟ですが、↓この本に書かれていたようなリーダーシップを多少なり身につけたのは、間違いなくアメーバの責任者として自アメーバの全権限と全責任を持っていた時です。

前章で決断のボトルネックを無くすことについて書きましたが、マネジャーから権限が委譲されれば、マネジャーの時間が空きます。そうすれば本来すべき「決断」にマネジャーは時間を使えます。

更に、上述の通り決定権を持つことで次世代のマネジャーが育ちます。

そうやってどんどん組織全体の「決断の総量」を増やし、決断のボトルネックを解消していくこと。

権限移譲が重要な理由はこれに尽きると思います。

まとめ

ちょっと内容が本の前半に偏ってしまいました。

後半にもフリーライダーの問題とか、権力のメカニズムとか面白いことが書いてあったのですが、長くなりすぎても良くないのと、単純に疲れたのでこの辺で終わります笑

まとめると、

①ヒエラルキー型の本来の機能を発揮するためには決断のボトルネックを解消する必要がある

②そのためには適切な権限委譲を進め、意思決定者の時間の確保と次世代の育成によって「決断の総量」を増やす必要がある

といったところでしょうか。

では、具体的にどうやって権限の委譲をしていけばよいか。これはまさに今弊社の中で私も頭を悩ませるところです。掛け声だけではできないので、これこそ組織を変え、それによって人のマインドを変えていく必要があります。

今までよりも全体的に意思決定できるポイントをもう一階層下に落としたい。今は課長にお伺いを立てている案件を係長までで決裁できるようにしたいのです。

誰か教えてください笑

読んでいただきありがとうございました。

おわり

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