【5分で読める労働判例】読売新聞社事件~就労請求権~

読売新聞社事件の概要

Xは新卒採用でY社に4月に入社したが、半年間の見習い期間が満了する9月末に解雇の意思表示を受けた。理由は就業規則に記載のある「やむを得ない会社の都合によるとき」であった。

これに対しXは解雇の意思表示の効力停止、賃金の支払、就労妨害の排除を求めて訴えを起こした。結果、Xの訴えは解雇の意思表示の効力停止と賃金の支払については認められたものの、就労請求については認められなかった。

平たく言えば、解雇しない、給料は払う。それで十分だから就労する必要ないよね?という感じだろうか。

読売新聞社事件のポイント

労働契約によって、労働者は使用者の指示に従って労働する義務を負う。では、労働者は使用者に対して労働することを請求する権利があるのかが本件のポイントである。

これに関しては、本件同様に多くの裁判例が原則として労働することを請求する権利はないという立場を取っている。

特に本件では賃金は支払われており、金銭的な損害はXには無く、純粋に「働くこと」そのものを請求する権利について判じられ、否定されている。

一方で、学説では就労請求権については肯定すべきという意見も多い。理由は様々あるものの、個人的にうなずけたのは、労働そのものに「働き甲斐」「自己実現」といった意味が見出されることを考慮し、法律上保護されるべき権利であるというものだ。日本ではやりがいをもって働いている人が少ないというのはよく揶揄されることもあるが、自分としては働くことそのものに自己実現という側面もあるのが事実だと思っている。

賃金がもらえればそれでいいのかというと、就労を拒否されることによって労働者が失うものは他にもあるのではないかと考えさせられるところだ。

おわり

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