【5分で読める労働判例】山梨県民信用組合事件~就業規則変更への同意~

山梨県民信用組合事件の概要

Xらが勤務していたA信用組合は経営破綻を避けるため、Y信用組合に合併を申し入れ、AはYに吸収合併されることになった。 その際、Xらが元々所属していたA信用組合の職員退職給与規定が見直されることとなり、Xらはその説明を受けて同意書に署名押印している。

その2年後、Yはさらに吸収合併をすることになり、それまでの在職期間に係る退職金の支給基準が変更され、退職理由によって異なる係数を用いる旨の変更が為された。その際もXらは同意書に署名をしているが、説明は朝礼で変更点を記した簡単な書面が読み上げられたのみであった。

しかしこの変更によって、Xらの退職時、合併前の在職期間に係る退職金の額は0円になってしまっていた。Xらはこれを不服として訴えを起こした。最高裁までもつれた結果、Xらの訴えが概ね認められる判決が下されている。

山梨県民信用組合事件のポイント

本件のポイントとして、Xらが変更について説明を受けたうえで同意書に署名押印していることが挙げられる。

労働条件の不利益変更は、原則として労働者の個別の同意が必要である。例外としては↓の記事を参照されたいが、基本的には不利益変更が合理的と認められる難易度は高い。

本件はXらが同意書に署名押印していることから、一見すると個別の同意が得られているように見えるが、実際にはXらの不服が認められている形だ。

最高裁の見解として、同意があったかどうかは署名押印の有無だけで決まるものではないとされている。

同意の有無は、労働者の同意の行為が「自由な意思に基づいてなされたもの」と認めるに足る合理的な理由が客観的に存在するかがポイントになるというのがこの判決の趣旨だ。

署名押印を強要するようなやり方は論外だが、それ以外にも十分な情報提供・説明をしたかどうかや、不利益の内容・程度の大きさが問題になる。

本件では、自己都合の場合には退職金が0円になる可能性が高いといったこともしっかりと説明し、理解を求めていたかに疑問符が付く形となった。

 

おわり

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