【5分で読める労働判例】東朋学園事件~産休等による不利益取り扱い~

東朋学園事件の概要

Y法人では賞与の支給要件として、支給対象期間の出勤率が90%以上という条項が存在していた。Y法人の職員であるXは、賞与支給対象期間中に産休を取得しその後短時間勤務となったため、出勤率が90%未満となった。そのため2回にわたり賞与の支給を受けることができなかった。

そこでXはこの条項は公序良俗に反するとして賞与の支払いを求める訴えを起こした。

最高裁での判決では、産休や育休の権利の行使を抑制し、これらの権利を実質的に失わせるものと認められる場合に限り、公序良俗に反するものとして無効となるとされた。

90%の出勤率にカウントして賞与全額不支給とすることは無効だが、休んだ分の日数に応じて減額することは問題ないという形だ。


東朋学園事件のポイント

前提として、産休・育休などの法令で認められた権利を行使して休んだ場合に、不利益な取り扱いをすることは禁じられている。一方で、「働いていない」事実はあるので、その部分を無給扱いにすることは問題ない。

産休育休を欠勤と同様に扱うことによって、出勤率を90%未満と算定することについては否定している。これは賞与の額が練習に占める割合が相当に大きく労働者への不利益が大きかったことも要因のひとつと考えられる。

全額を不支給にすることに関しては否定しているが、支給する賞与の金額を、休んだり短時間勤務した日数に応じて減額することに関しては否定していない。いわゆるノーワーク・ノーペイの原則を反映していると言える。これは賞与額に固定の部分が多く、賃金の後払い的な意味合いが強いことも考慮されている。

産後休業は強制休業であることも踏まえると若干疑問は残るが、概ね欠勤と同じ扱いを認めていると言える判決と思える。ただし、労働者が著しく不利益を被る取り扱いについては、違法と判断される可能性もあり、賞与の減額については、きちんと計算根拠を説明できるようにしておく必要がある。

おわり

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