【5分で読める労働判例】白石営林署事件~有給休暇権の法的性質~

白石営林署事件の概要

農林水産省林野庁 白石営林署の職員であったX(原告)は、昭和33年12月9日の退庁間際に10日、11日の二日間の分の有給休暇を請求し、承認されないうちに退庁した。そして、Xはその二日間を出勤しなかった。 しかし、Xの上司はこの二日間の有給休暇を不承認とした。そのためXの同月の賃金は、二日分が欠勤扱いとして控除されることとなった。 この件についてXは、上司の不承認は違法であるとして訴えを起こした。最高裁まで争った結果、Xの請求は認められ、有給休暇の不承認は違法とされた。

白石営林署事件のポイント

本件の重要な点は、有給休暇の取得に使用者の「承認」が必要であるかということである。 そして、最高裁の判旨の中でも、承認の必要性は明確に否定されている。 労働基準法第39条では、雇い入れから6ヶ月間、全労働日の8割以上勤務した者には10日の有給休暇を与えることが定められている。その後1年経過ごとに最大20日まで付与日数は増える。 そして、この有給休暇は労働者が取得の申請を行った場合、使用者には「承諾」や「同意」の権利はない。また、有給休暇をどんな目的に利用するかは労働者の自由である。 ちなみに、唯一使用者が行使できる権利として時季変更権がある。ただし、この権利を行使できるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」だけだ。 有給休暇の取得が「事業の正常な運営を妨げるか否か」は以下のような項目から総合的に判断される。
  • 職務の内容・性質
  • 職務の繁閑
  • 代わりの勤務者確保の難易度
  • 事業への影響の程度
  • 同時に休暇申請している人の数
そのため、抽象的に「業務に支障の生ずるおそれがある」程度では足りない。具体的な支障の生ずるおそれが、客観的にうかがえることが必要とされる。 労働基準法においては、労働者の有給休暇取得の権利を可能な限り保護する方向性を定めていると言えるだろう。 おわり

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