【5分で読める労働判例】阪急トラベルサポート事件~事業場外労働みなし制~

阪急トラベルサポート事件の概要

X(原告)は派遣元Y社(被告)に雇用され、添乗員としてA社に派遣されて添乗業務を行っていた。

XはA社から渡される行程表通りのツアー管理が義務。また、添乗日報の作成・提出や、国際電話用の携帯が貸与されて常にその電源を入れておくことが義務付けられていた。

Xは、この添乗業務には事業場外労働のみなし労働時間制は適用されないとして、時間外・休日労働の割増賃金請求の訴訟を起こした。Xの訴えは最高裁においてほぼ認容されている。

ちなみにみなし制とは、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で仕事をしたため、労働時間を算定し難いときに、実際の労働時間にかかわらず所定労働時間労働したものとみなす制度である。

阪急トラベルサポート事件のポイント

本件はみなし制の適用の可否を争った裁判だが、そのポイントは

  1. 業務の性質、内容
  2. 業務に関する指示および報告の方法、内容

の二点である。

まず①業務の性質、内容について。 本件では旅行日程の変更は往々にしてあり得ることで、それに対する対応の頻度を考えると業務密度は希薄でない。また業務に関する裁量も、Xに大きくは与えられていなかったとされている。 つまり、業務密度の高さと業務に関する裁量度の低さという二つの要素が、労働時間の算定が困難であるかを判断するポイントになっている。

次に②業務に関する指示及び報告の方法、内容について。 これは本件では以下の点がポイントとなっている。

  • ツアー行程(業務内容)が事前に詳細に決められている
  • 携帯電話で常に連絡がとれる
  • 詳細な添乗日報の提出を義務付けている

このような点が揃っているときは労働時間の算定が困難であるとは認められにくいだろう。 それ以外にも、行政解釈として事業場外で業務していても具体的な指揮監督が及んでいる場合は、みなし制の適用は認められない。たとえば、労働時間を管理する者と行動を共にしている場合や、本件のように常に通信機器で指示を受けている場合、行先や時刻などの具体的な指示を受けている場合などである。

また、このような労働時間を把握するための措置を使用者が実施可能にもかかわらず実施しない場合にはどうか。その場合には、措置の実施に伴う負担が過重であるかが重要となる。使用者には、労働時間を把握するための措置が合理的ではないことを主張立証することが求められるだろう。  

おわり

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