新卒の通年採用化について考える

先日、経団連と大学側の合意として新卒一括採用の見直しが発表されましたね。

人事に携わる人にとってはかなり衝撃のあるニュースだったかと思います。

その記事について、私なりの主観を交えながら解説していきます(8割主観かもしれません笑)

新卒一括採用のメリット

まず、新卒一括採用のメリットについて。

(こちら↓の記事でも詳しく述べております)

端的に言えば、企業側から見た場合、低コストで簡便な人員補充策であること。従業員側から見た場合は、無理ないミッションを与えられながら誰もがある程度のレベルまでは引き上げてもらえるということだと考えます。

また、これも企業側視点ですが、まっさらな状態から自社の文化に染め上げていく人材を大量に作れるということもあります。

新卒一括採用のデメリット

学生から見たときに、採用の時期が固定されてしまい、その波に乗り損ねた学生がリカバリーするのが非常に難しいというのはあります。時期が限定されるということについては経団連の発表でも言及されていました。

また、新卒一括採用では初任給という形で最初の給与は全員一律です。ところが、これでは一部の優秀層の学生にとっては物足りない給与になってしまいます。

すると何が起こるかというと、優秀な学生はどんどん海外に流れてしまいます。海外企業では年収が下手すると数倍違ってきたりしますから、当然といえば当然ですよね。

むしろ、今回の発表で主眼に置いているのはこの優秀人材の海外への流出防止だと思います。

今回の変更のポイントについて

変更のポイントとして、私が考えるのは、ルールが全撤廃なのか一部撤廃なのかです。

採用情報の公開の規制は撤廃して、内定出しの日程は現状のまま。という変更ならば、現状とさほど変わらないかと思います。ただ、多分コレはないでしょう。

濃厚なのは、やはりルール全撤廃です。

そうなった時に何が起こるか。大学1年生にも内定が出せてしまうんですね。で、そうするともう全学年対象にした囲い込みが年がら年中続くわけです。

インターンも長期のやつをガンガンやることになります。

つまり、採用担当者の業務負担がおかしなことになります笑

まあ、それは一部の大手企業の話で、中小企業だとそこまでのリソースを採用に割けない企業がほとんどです。経団連の方針でも、従来の一括採用も併存するとの見通しでしたから、中小企業はそこにターゲットを合わせた今までとそんなに変わらない採用活動になるでしょう。

ただ、やはりリソースを割いて囲い込みまくられている部分に関しては不利にならざるを得ないですね。

経団連が描く未来とは

一言で言えば、「雇用の流動化」ですかね。

複線型の採用の整備をというメッセージが経団連会長の話の中にありました。

伏線型というのは、総合職での一括採用に加えて、秀でたスキルを活かして特定の業務に従事する「ジョブ型」の採用を混ぜていくようにすることを意図しています。

ジョブ型での雇用が増えていくと、雇用は欧米のスタイルに近づいていきます。

ジョブ型で採用する人に対しては、総合職の人よりも高い給与を提示することが可能です。そもそも、そうやって報酬の魅力を引き上げ、優秀層の海外流出を食い止めるのが今回の変更のポイントです。

当然、ジョブ型の特徴として年功序列ではなく、従事する職務の重要度(ジョブ・サイズ)で評価することになるでしょうし、そうなってくるとひとつの企業に勤続し続けることに大した意味はなくなってきます。

また、これはすぐには実現されないかもしれませんが、ジョブ型であれば企業の解雇は少し難易度は下がります。しかし、これに関しては労働組合や労働法も絡んできて難しいところではあります。

そもそも、「終身雇用なんて守れない」的な発言もあったりして、それ即ち「ひとつの企業に勤め続ける時代は終わるぞ」というメッセージですよね。

日本企業の雇用は今後どうなる?

これだけ書いておいてなんですが、先行き不透明ですね。

ただ、少なくとも新卒一括採用が無くなるなんて日は来ないと思います。先にも述べましたが、企業にも学生にもそれなりのメリットがあります。長年続いてきた理由があるのです。

ただ、今回の発表で一石が投じられたのは事実です。

新卒一括採用だけでなく、日本の雇用のありかたそのものに対する問題定期だと私は捉えています。

個人的な思いとしては、年功序列は全く不要です。もちろん、年齢が上がるにつれてホンの少しぐらい給与が上がってもいいぐらいには思いますが、年次で序列が決まるなんていうのは愚の骨頂です。能力の高い人、成果を出した人、重要なポジションにいる人に会社として高い処遇を与えるのは当然です。

一方、終身雇用は良い面もあります。「企業内熟練」という概念がその考えの根拠です。

どんなに能力が高い人が集まったって、その企業のカルチャーが身体に染み渡っていたり、社内の細かな事情に精通しているというような要素は、成果を出すために必要です。

何より、世の中皆が仕事を生きがいに生きているわけではありません。ただ、そういう人を容赦なく切り捨てていくことが必ずしも良い会社を作るとは思えません。

雇用を守り、従業員が安心して働ける環境を整えるということは企業の責務でもあります。

終身雇用は、年功序列とセットになった瞬間に害悪になってしまうと私は考えます。ロー・パフォーマーでも解雇されないだけでなく、勝手に給与まで上がってしまうからです。

適正な給与であれば、ロー・パフォーマーを雇用し続けても企業もそこまで痛手ではありません。そもそもロー・パフォーマーがいない企業なんて存在しないのです。

適正な評価・適正な処遇。口にするのは簡単ですが、実行するのはとても難しいですよね。

日本の雇用は大きな転換点を迎えていると思っています。絶対的な正解はありません。企業それぞれに最適な制度設計があります。

一人でも多くの労働者が、自分の仕事が幸せだと思える環境で働ける未来を作っていくことは人事としての使命ですね。

おわり

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